ナイアードのヘナ

ヘナ実験室

2016.08.05

ヘナ+木藍の染まり具合とラップの影響

ヘナ+木藍できれいに染めるための重要のポイントの1つは、ペーストを塗った後にラップをしないことです。なぜラップをしないほうが良いのか疑問に思うかたもいらっしゃると思います。今回は、実際にラップをするのとしないのとを比較する実験をしてみました。

実験条件
毛束:白髪100%(ヤクの毛を使用)
ヘナを溶いたお湯の温度※:45℃
待つ間の条件:A)ラップする、B)ラップしない
乾燥条件:1)36℃保温・保湿1時間→自然乾燥、2)36℃保温・保湿20分→自然乾燥

この実験では、はっきり違いを表すために白髪100%の毛束を使用しました。そのため実際に黒髪の中にある白髪に染めた場合は、黒髪の中の白髪だけがヘナの色に染まるため、実験の結果より暗く見えます。

待つ間の条件は、A)ラップする、B)ラップしない、の2通りです。

乾燥条件も2通りにしました。36℃保温・保湿は、お風呂に入ることをシミュレーションしました。お風呂に入る(湯船に浸かる)時間としては1)20分くらいかと思いますが、参考のために同じ条件で2)1時間でも確認しました。つまり、保温・保湿時間の長短での発色差も確認してみました。

実験結果

染めあがり

染めあがり直後は、B)ラップしないのがA)ラップするより暗く染まりました。

次に、3日後の仕上がりの色をお見せします。
※ ヘナ+木藍で染めた後、2~3日で染めた色が安定します。

保温時間長

保温時間短

「保温」時間が長いと、A)ラップしてもB)ラップしなくても仕上がりに大差は見られませんでした。しかし、「保湿」時間が短くなるほど、ラップした場合は、より赤く発色することが分かりました。

それは、木藍の発色のメカニズムに深い関係があります。

ヘナ+木藍で白髪を染めた時の黒茶色は、主にヘナのオレンジ色の色素「ローソン」と木藍の青色の色素「インディゴ」を組み合わせてできたものです。しかし木藍には、そもそもインディゴが存在せず、インディゴの前駆体の無色の「インジカン」という物質とインジカンを分解する酵素があります。

木藍を水で溶かすと、インジカンは酵素と反応し、無色の「インドキシル」に変化します。次に、インドキシルが酸素と反応する(酸化する)と青色の色素「インディゴ」に変化します。
ヘナのオレンジ色と組み合わせることで、ヘナ+木藍で染めた時に落ち着いた黒茶系の色に見えます。

「では、ラップをして待ち時間を過ごしても、最終的には空気に触れるから問題ないのでは?」と思った方は鋭いですね!

実は、インドキシルが酸化するときに水分が少ないと、赤色色素の「インジルビン」に変化する傾向があるのです。
そのため、ヘナペーストを塗って待つ間=水分をたっぷり含んだペーストが髪に馴染んでいる時に空気に触れさせて、多くのインドキシルをインディゴに変化させるのがラップしない(空気を遮断しない)ことの目的です。その結果染めあがりの色が赤くなるリスクを抑えながら落ち着いた黒茶系の色合いの仕上がりにすることができます。